JavaScriptを学んでいる方はこんな経験があるのはないでしょうか?
- 「書いたコードを実行したら、真っ赤なエラーメッセージが表示された…」
- 「エラーが出て先に進めない。どうしたらいいかわからない…」
JavaScriptのエラーに悩まされるのは、初心者にとってはよくあることなのです。
でも大丈夫です。
本ガイドを読んでいただければ、JavaScriptのエラーの原因を特定し、適切に対処できるようになります。
初心者の方でもわかりやすいよう、ゆっくりと丁寧に解説していきますので、ご安心ください!
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JavaScriptのエラーとは?
JavaScriptを書いていると、思わぬところでエラーが発生することがあります。
「エラー」とは、プログラムが意図した通りに動作しない状態のことを指します。
例えば、存在しないファイルを読み込もうとしたり、ネットワークに接続されていない状態でデータを取得しようとすると、JavaScriptはエラーを発生させます。
エラーが起きると、プログラムは停止してしまうこともあるので、適切にエラーをハンドリング(処理)することが大切です。
そのためには、まずはJavaScriptのエラーの仕組みについて理解を深めておく必要があります。
JavaScriptのエラーオブジェクト
JavaScriptでエラーが発生すると、インタプリタはErrorオブジェクトを生成します。Errorオブジェクトには、エラーに関する以下のような情報が含まれています。
- エラーの種類を表すname プロパティ(例: “ReferenceError”)
- エラーの詳細を説明するmessageプロパティ(例: “x is not defined”)
- エラーが発生したコードの位置を示すstackプロパティ
これらの情報を手がかりに、エラーの原因を突き止めていきます。
JavaScriptのエラーの種類
JavaScriptのエラーは、大きく分けて2種類あります。
- 構文エラー(SyntaxError):プログラムの記述ミスによるエラー
- 実行時エラー(ランタイムエラー):プログラムの実行中に発生するエラー
構文エラーの多くは、コードを実行する前にエディタやコンパイラによって検出されます。括弧の閉じ忘れ、セミコロンの欠落など、ちょっとしたミスで構文エラーは発生します。エディタの構文チェック機能を使うと、構文エラーを事前に防ぐことができるでしょう。
一方、実行時エラーはプログラムの実行中に発生するため、事前に検出するのが難しいのが特徴です。実行時エラーの主な種類には、以下のようなものがあります。
- ReferenceError(参照エラー):存在しない変数を参照した
- TypeError(タイプエラー):期待されるデータ型と異なる型の値を使用した
- RangeError(範囲エラー):許容範囲を超えた値を使用した
- URIError(URIエラー):encodeURI()などのURI処理関数で不正なURLを使用した
実行時エラーはバグの原因となるため、適切にエラー処理を行う必要があります。try…catch文を使ったエラー処理については後ほど詳しく解説します。
JavaScriptのエラーメッセージの見方
JavaScriptでエラーが発生すると、エラーメッセージがコンソールに表示されます。エラーメッセージを理解することが、エラーの原因特定の第一歩となります。
次の例は、変数xが未定義の状態で参照したときに発生するReferenceErrorのエラーメッセージです。
Uncaught ReferenceError: x is not defined
at <anonymous>:1:1
エラーメッセージは次のような情報で構成されています。
- エラーの種類(ReferenceError)
- エラーメッセージ(x is not defined)
- エラーが発生したコードの位置(at <anonymous>:1:1)
エラーメッセージから、変数xが定義されていないことが原因だとわかります。さらに、エラーが発生したコードの位置から、該当のコードが1行目の1文字目付近にあることもわかります。これらの情報を総合すると、次のようなコードでエラーが発生したのだと推測できます。
console.log(x); // xは未定義
このように、エラーメッセージを手がかりにしてエラーの原因を特定していきます。ただし、エラーメッセージの内容はブラウザによって多少異なるので注意が必要です。
JavaScriptのよくあるエラーと対処法
JavaScriptを書いているとよく遭遇するエラーをいくつか取り上げ、それぞれの原因と対処法を見ていきましょう。
SyntaxError: Unexpected token
SyntaxError(構文エラー)は、文法の誤りを指摘するエラーです。中でも”Unexpected token”は、「構文として認識できない記号がある」という意味のエラーメッセージです。
次の例では、関数の引数を囲む括弧を閉じ忘れたために、SyntaxErrorが発生しています。
function greet(name {
console.log(`Hello, ${name}!`);
}
// SyntaxError: Unexpected token '{'
SyntaxErrorへの対処法は、指摘された箇所の構文が正しいかをチェックし、誤りを修正することです。この例の場合は、関数の引数を囲む括弧を正しく閉じればエラーは解消します。
ReferenceError: “x” is not defined
ReferenceErrorは、存在しない変数や関数を参照したときに発生するエラーです。「”x” is not defined(xは定義されていません)」というエラーメッセージは、変数xが見当たらないことを示しています。
次の例では、変数xを宣言せずに参照しているため、ReferenceErrorが発生しています。
console.log(x);
// ReferenceError: x is not defined
ReferenceErrorへの対処法は、参照しようとしている変数や関数が正しく宣言・定義されているかを確認し、必要であれば宣言を追加することです。この例の場合は、変数xを事前に宣言すればエラーは解消します。
TypeError: Cannot read property ‘x’ of undefined
TypeErrorは、データ型に関するエラーを指します。「Cannot read property ‘x’ of undefined(undefinedのプロパティ’x’を読み取れません)」というエラーメッセージは、オブジェクトではないものに対してプロパティのアクセスを試みたことを示しています。
次の例では、オブジェクトuserを宣言していないのにuser.nameでプロパティにアクセスしようとしているため、TypeErrorが発生しています。
console.log(user.name);
// TypeError: Cannot read property 'name' of undefined
TypeErrorへの対処法は、プロパティにアクセスする前にオブジェクトが存在しているか確認し、undefinedでないことを保証することです。この例の場合は、事前にuserオブジェクトを定義すればエラーは解消します。
const user = {
name: 'Taro',
age: 28
};
console.log(user.name); // 'Taro'
if (user && user.name) {
console.log(user.name);
} else {
console.log('User or user.name is undefined');
}
JavaScriptのエラーへの対処法
JavaScriptのエラーに適切に対処することで、アプリケーションを安定的に動作させることができます。基本的なエラー対処の方法を見ていきましょう。
try…catch文によるエラー処理
try…catch文を使うと、実行時エラーを補足し、適切な処理を行うことができます。try…catch文の構文は次のようになります。
try {
// 例外が発生する可能性のあるコード
} catch (error) {
// 例外発生時の処理
}
try…catch文を使うと、次のようにエラーをキャッチできます。
try {
console.log(x);
} catch (error) {
console.log('An error occured: ' + error.message);
}
上記の例では、存在しない変数xを参照したときに発生するReferenceErrorをキャッチしています。catch節の中でerrorオブジェクトを使えば、エラーメッセージを出力したりユーザーに通知したりといったエラー処理を行えます。
さらに、try…catch文にはfinallyブロックを付け加えることができます。
try {
// 例外が発生する可能性のあるコード
} catch (error) {
// 例外発生時の処理
} finally {
// 例外の有無に関わらず必ず実行される処理
}
finallyブロックは、例外の発生有無に関わらず必ず実行されます。リソースの解放処理などを行うのに適しています。以下は、ファイルを読み込む処理の例です。
let file;
try {
file = openFile('example.txt');
// ファイルの読み込み処理
} catch (error) {
console.log('An error occured: ' + error.message);
} finally {
if (file) {
file.close(); // ファイルを閉じる
}
}
デバッガーを使ったデバッグ
ブラウザの開発者ツールには、JavaScriptのデバッグ機能が備わっています。デバッガーを使うと、コードの実行を一時停止し、その時点での変数の値などを確認できます。
例えばChromeでは、ソースコードの任意の行の左側をクリックすることでブレークポイントを設定できます。ブレークポイントを設定した状態でプログラムを実行すると、その行で実行が止まるので、変数の値を確認したりできます。
エラーの原因がわからない時は、エラーが発生している箇所よりも前の行にブレークポイントを設定し、ステップ実行しながら変数の値を確認していくとよいでしょう。デバッグ中の各ステップで変数がどのような値を取るのかを観察することで、エラーの原因を特定しやすくなります。
コードのテスト
JavaScriptのコードをテストすることで、バグを事前に発見し、品質の高いコードを保つことができます。テストフレームワークを使うと、様々なパターンのテストを自動で実行できるため、効率的にバグを検知できます。
JavaScriptのテストフレームワークは数多く存在しますが、代表的なものとして以下のようなものがあります。
- Jest:Facebookが開発したテストフレームワーク。React開発でよく使われる。
- Mocha:シンプルで柔軟性の高いテストフレームワーク。
- Jasmine:シンプルな構文が特徴的なテストフレームワーク。
これらのフレームワークを使えば、コードの品質を保ちながら開発を進められます。大規模なプロジェクトでは特に、テストの自動化が欠かせません。
まとめ
JavaScriptのエラーと上手く付き合うためには、エラーメッセージを読み取る力とデバッグの技術が欠かせません。
構文エラーによるミスは丁寧にコードを見直すことである程度防げますが、実行時エラーの原因は特定が難しいこともあります。
try…catch文を使った堅牢なエラー処理、デバッガーを使ったデバッグ、テストの習慣化など、さまざまな方法を使いこなすことが、JavaScriptのエラーへの対処力を高めることにつながります。
アプリケーションの規模が大きくなるほど、これらのスキルが重要になってくるでしょう。
エラーは開発者にとって避けては通れない試練です。
しかし、エラーと正面から向き合い、1つ1つ乗り越えていくことがスキルアップへの近道と言えます。
エラーを恐れるのではなく、それを糧に成長するという前向きな姿勢を持つことが何より大切です。
本記事が、JavaScriptのエラーに悩むすべての方の一助となれば幸いです。
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