TypeScriptとJavaScriptの違いは?どちらを選ぶべきかを解説

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TypeScriptとJavaScriptは両方ともプログラミング言語ですが、それぞれに特徴と違いがあります。
慣れていないと違いが分かりにくいかもしれませんので、まずはその違いと特徴を理解しておきましょう。

目次

JavaScript の特徴

JavaScriptとは?

まず、JavaScript についておさらいしましょう。

JavaScriptは、ウェブページに動的な要素を追加するためのプログラミング言語です。
最初はブラウザ上で動作するための言語として開発されましたが、現在ではサーバーサイドでも広く使用されています。

// JavaScriptのコード例
let message = "Hello, JavaScript!";
console.log(message);  // "Hello, JavaScript!"が表示される

動的な言語である

まず、プログラミング言語にはという概念があります。

型とは、変数に格納できる値の種類のことです。
例えば、数値型の変数には数値を、文字列型の変数には文字列を格納することができます。

let number = 42;  // 数値型の変数
let string = "I am a string";  // 文字列型の変数

一方、JavaScriptでは、変数の型を明示的に宣言する必要がありません。

これにより、柔軟なコーディングが可能となります。

let variable = "I am a string";
variable = 42;  // 型が数値に変更される
console.log(variable);  // 42が表示される

しかし、型を明示的に宣言しないことにより、意図しない型の値が変数に格納されるというバグを生む可能性もあります。

function add(a, b) {
  return a + b;
}

console.log(add(1, "2"));  // "12"が表示される(数値の1と文字列の"2"が結合される)

ファーストクラス関数を持つ

JavaScriptはファーストクラス関数を持つ言語です。
これは関数が値であり、変数に格納したり他の関数に引数として渡したりできることを意味します。

// 関数を変数に格納
let greet = function() {
  console.log("Hello, JavaScript!");
};
greet();  // "Hello, JavaScript!"が表示される

TypeScriptの特徴

TypeScriptとは?

TypeScriptはMicrosoftが開発した、JavaScriptのスーパーセット(上位互換)です。
JavaScriptのコードはそのままTypeScriptとして動作し、さらに型情報を追加できるという特徴があります。

// TypeScriptのコード例
let message: string = "Hello, TypeScript!";
console.log(message);  // "Hello, TypeScript!"が表示される

静的型付けが可能

TypeScriptの一番の特徴は、静的型付けが可能であることです。
型を明示的に宣言することで、コードの安全性を高めることができます。

let variable: number = 42;
variable = "I am a string";  // 型エラーが発生

クラスとインターフェイス

TypeScriptには、JavaやC#のような静的型付け言語にある「クラス」と「インターフェイス」の概念があります。
これにより、大規模なプロジェクトでも管理しやすくなります。

type Person = {
  name: string;
  age: number;
};

class Employee implements Person {
  constructor(public name: string, public age: number) {}
}

let employee: Person = new Employee("John", 42);
console.log(employee.name);  // "John"が表示される

TypeScriptとJavaScriptの主な違い

最も大きな違いは「」です。
JavaScriptは動的型付け言語で、変数の型は実行時に決定します。
一方、TypeScriptは静的型付け言語で、コンパイル時に型チェックが行われます。

JavaScriptでは型を明示的に宣言しないため、コードが柔軟ではありますが、意図しない型の値が変数に格納されるというバグを生む可能性もあります。

function add(a, b) {
  return a + b;
}
console.log(add(1, "2"));  // "12"が表示される(数値の1と文字列の"2"が結合される)

一方、TypeScriptでは型を明示的に宣言するため、上記のような問題をコンパイル時に検出できます。

function add(a: number, b: number): number {
  return a + b;
}
console.log(add(1, "2"));  // コンパイルエラーが発生(文字列を数値に加えることはできない)

TypeScriptとJavaScriptを学ぶ理由

TypeScriptとJavaScriptの違いを理解したら、次になぜこれらの言語を学ぶべきなのかを理解しましょう。

TypeScriptを学ぶメリット

TypeScriptの最大のメリットは、型の明示的な宣言によるコードの安全性の向上と、大規模なプロジェクトの管理のしやすさです。
コードベースが大きくなると、型の管理が難しくなるため、TypeScriptの型システムはそのような問題を解決します。

また、TypeScriptはJavaScriptのスーパーセットであるため、JavaScriptの機能をすべて利用できます。
これにより、既存のJavaScriptコードを徐々にTypeScriptに移行することが可能となります。


スーパーセットとは、ある言語の機能をすべて含んでいる言語のことです。
ここでは、TypeScriptがJavaScriptの機能をすべて含んでいるため、TypeScriptはJavaScriptのスーパーセットであると言えます。
「上位互換」と読み替えてもいいでしょう。

JavaScriptを学ぶメリット

JavaScriptは、ウェブ開発において欠かせない言語です。
また、サーバーサイドの開発にも使用されるため、フロントエンドとバックエンドの両方を1つの言語でカバーできます。

さらに、JavaScriptのライブラリとフレームワーク(例えばReactやVue.jsなど)は非常に人気があり、多くのプロジェクトで使用されています。

プログラミング初心者にとってのメリット

プログラミング初心者にとって、JavaScriptは学びやすい言語と言えるでしょう。
その理由は、構文がシンプルであること、ブラウザ上で直接実行できること、そして何よりもウェブ上に豊富な学習リソースが存在していることです。

一方、TypeScriptを学ぶことで、静的型付け言語の基本的な概念を学ぶことができます。
これは、JavaやC#など他の静的型付け言語を学ぶ際の基礎となります。

もし、今後アプリ開発の現場でフロントエンドにも関わっていきたいと考えているのであれば、JavaScriptを学んだ後に、TypeScriptを学ぶことをおすすめします。

TypeScriptとJavaScriptの将来性

プログラミング言語を学ぶ際には、その言語の将来性を考慮することも重要です。

TypeScriptの市場における位置づけと将来性

TypeScriptは、大規模なプロジェクトやチーム開発において重宝されています。
型の明示的な宣言と、それによるエラーチェックの機能は、バグの少ない安全なコードを書くことを可能にします。

また、TypeScriptの人気は年々上昇しています。
「Stack Overflow Developer Survey 2022」によれば、TypeScriptは「最も愛されている言語」の一つに選ばれています。

このような背景から、TypeScriptの将来性は非常に高いと言えます。

JavaScriptの市場における位置づけと将来性

JavaScriptは、ウェブ開発においてはもはや標準的な存在となっています。
HTMLとCSSと並ぶウェブ技術の一角を担っており、その地位は揺るぎないものです。

また、JavaScriptはサーバーサイド(Node.jsなど)でも幅広く使用され、フルスタック開発の可能性を秘めています。

JavaScriptには広大なエコシステムがあり、その中には数多くのライブラリやフレームワーク、ツールが存在します。
この豊富なエコシステムと、既に広範囲に普及していることから、JavaScriptの将来性も非常に高いと言えます。

とはいえ、JavaScriptは動的型付け言語であるため、大規模なプロジェクトには向いていません。
そのため、大規模なプロジェクトを開発する際には、TypeScriptを使用することが推奨されています。

TypeScriptとJavaScriptの環境構築

次に、TypeScriptとJavaScriptの開発環境の構築方法について解説します。

JavaScriptの環境構築

JavaScriptを動作させるためには、基本的にはウェブブラウザとテキストエディタがあれば十分です。

テキストエディタ(VS Code、Sublime Text、Atomなど)で新しい.jsファイルを作成し、JavaScriptのコードを書きます。

// ファイル: hello.js
console.log("Hello, JavaScript!");

作成したJavaScriptファイルをブラウザで開くか、Node.jsがインストールされている場合はコマンドラインで実行します。
※ブラウザで開いた場合は、デベロッパーツール(F12キー)の「コンソール」というタブに表示されます。

node hello.js  // "Hello, JavaScript!"が表示される

TypeScriptの環境構築

TypeScriptを使用するためには、Node.jsとTypeScriptのコンパイラが必要です。

Node.jsをダウンロードしてインストールします。

コマンドラインで以下のコマンドを実行し、TypeScriptのコンパイラをインストールします。

npm install -g typescript

新しい.tsファイルを作成し、TypeScriptのコードを書きます。

// ファイル: hello.ts
console.log("Hello, TypeScript!");

TypeScriptのコードをJavaScriptにトランスパイルします。

tsc hello.ts  // hello.jsが生成される

生成されたJavaScriptファイルをNode.jsで実行します。

node hello.js  // "Hello, TypeScript!"が表示される

まとめ

この記事では、TypeScriptとJavaScriptの違いと特性、環境構築の方法、実際の使用例について解説しました。

どちらの言語を学ぶべきかは、あなたの目指す目標や開発のコンテクストによりますが、これからのウェブ開発においては、TypeScriptを学ぶことをおすすめします。
実際、現場でもTypeScriptの需要は高まっており、その傾向は今後も続くと予想されます。

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