Reactは、Facebookが開発したUIを構築するためのJavaScriptライブラリです。
現在、世界中の多くのWebサイトやアプリケーションで採用されており、フロントエンド開発において非常に人気の高い技術となっています。
この記事では、プログラミング初心者の方に向けて、Reactとは何か、その特徴やメリット、学習方法などについてわかりやすく解説していきます。
これからReactを学習しようと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください!
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Reactとは何か
Reactは、ユーザーインターフェース(UI)を構築するためのJavaScriptライブラリです。
WebアプリケーションやWebサイトの「View」に当たる部分、つまりユーザーの目に見える部分を効率的に開発することに特化したツールだと言えます。
例えば、Webサイトのボタンやフォーム、メニューなどの見た目や動きを作る際に、Reactを使うことができます。
従来のWebアプリケーション開発では、HTML、CSS、JavaScriptを組み合わせてUIを構築していましたが、Reactを使うことで、UIの部品(コンポーネント)を宣言的に記述し、組み合わせることができます。
これにより、コードの再利用性が高まり、開発の効率化が図れるのです。
Reactは2013年にFacebookがオープンソース化し、現在ではFacebook (Meta) やInstagram、Netflix、Airbnb、Yahoo!など、世界的に有名なWebサービスやアプリケーションの多くで採用されています。
なぜReactが注目されているのか
近年、Webアプリケーション開発の主流は、シングルページアプリケーション(SPA)へとシフトしています。
SPAとは、Webページの読み込みを最初の1回のみに留め、以降のユーザー操作はJavaScriptを用いて動的にページを書き換えるアプリケーションのことを指します。
代表的なSPAの例として、Google MapやGmail、Facebookなどが挙げられます。
これらのアプリケーションでは、ページ全体を再読み込みすることなく、必要な部分だけを更新することで高速で快適なユーザー体験を提供しています。
SPAではこのように複雑で動的なUIを構築する必要があるため、効率的なUI開発が求められます。
Reactは、SPAの開発に適したライブラリとして注目を集めているのです。
また、ReactはFacebookが開発・利用しているライブラリであるため、大規模なアプリケーションにも耐えうる堅牢性を備えている点も、大きな魅力の1つです。
Facebookのように巨大で複雑なアプリケーションを安定して動かすことができる技術は、他のアプリケーション開発にも応用できるでしょう。
Reactの主な特徴
Reactには、以下のような特徴があります。
コンポーネントベースのアーキテクチャ
Reactでは、UIを「コンポーネント」と呼ばれる部品に分割して開発します。
例えば、Webサイトのヘッダー、フッター、メインコンテンツ、サイドバーなどをそれぞれ独立したコンポーネントとして作成し、それらを組み合わせてページを構成します。
各コンポーネントは独立しており、再利用可能です。
つまり、一度作成したコンポーネントを他のページやプロジェクトでも使いまわすことができるのです。
これにより、開発の効率化と品質の向上が期待できます。
仮想DOMによる高速なレンダリング
Reactは「仮想DOM」と呼ばれる技術を使用しています。
DOMとは、Document Object Modelの略で、WebページのHTMLの構造を表すオブジェクトのことです。通常、JavaScriptでDOMを操作すると、Webブラウザ上で実際のDOMが更新され、ページが再描画されます。
しかし、この処理は重たく、パフォーマンスの低下につながります。Reactの仮想DOMは、変更前と変更後のDOMの差分を計算し、必要な部分だけを実際のDOMに反映することで、無駄な再描画を避け、高速なレンダリングを実現しています。
宣言的なUI記述
ReactではJSXと呼ばれる記法を使って、宣言的にUIを記述します。
JSXは、JavaScriptの中にHTMLのようなマークアップを書くことができる拡張構文です。
例えば、以下のようなJSXコードは、「Hello, World!」というテキストを表示するReactコンポーネントを定義しています。
function Greeting() {
return <h1>Hello, World!</h1>;
}
このように、JSXを使うことで、コンポーネントの構造とロジックを一箇所に集約でき、コードの見通しが良くなります。
また、宣言的な記述により、コードの意図が明確になり、バグが起こりにくくなるメリットもあります。
豊富なエコシステム
Reactには、数多くのライブラリやツールが用意されており、これらを活用することで、より効率的な開発が可能になります。
例えば、UIコンポーネントのライブラリであるMaterial-UIを使えば、Googleのマテリアルデザインに基づいた美しいUIを簡単に作成できます。
ルーティングを簡単に実装できるReact Routerを使えば、SPAの画面遷移を容易に実現できます。
また、ReduxやMobXなどの状態管理ライブラリを活用すれば、アプリケーションの状態を一元的に管理し、複雑なロジックを整理することができます。
スマートフォンアプリ開発への応用
ReactのエコシステムであるReact Nativeを使うことで、Reactの知識をそのまま活かして、iOS・Android両方のスマートフォンアプリを開発することができます。
React Nativeは、Reactのコンポーネントを使ってネイティブアプリのUIを構築するためのフレームワークです。
例えば、以下のようなReact NativeのコードはiOSとAndroidのどちらでも動作する「Hello, World!」アプリを定義しています。
import React from 'react';
import { Text, View } from 'react-native';
const App = () => (
<View>
<Text>Hello, World!</Text>
</View>
);
このように、React NativeではReactのコンポーネントとJSXを使って、ネイティブアプリのUIを宣言的に記述できます。Webとモバイルのコードを共有できるため、開発コストを大幅に削減できるでしょう。
React を学ぶメリット
ここまで見てきたように、Reactには以下のようなメリットがあります。
開発効率の向上
コンポーネントの再利用により、同じようなUIを何度も実装する手間が省けます。
また、JSXを使うことで、HTMLとJavaScriptを1つのファイルに記述でき、コードの見通しが良くなります。こ
れらの特徴により、開発の効率化が図れます。
例えば、Webサイトのヘッダーやフッターなどの共通部分をコンポーネント化しておけば、新しいページを作る際に、そのコンポーネントを呼び出すだけで済みます。
コードの重複が減り、修正もしやすくなるでしょう。
パフォーマンスの向上
仮想DOMにより、UIの変更が最小限に抑えられるため、アプリケーションのパフォーマンスが向上します。
特に、大規模なアプリケーションにおいて、その効果は顕著です。
例えば、1000個のアイテムをリスト表示するアプリケーションがあるとします。
アイテムの内容が変更された際、仮想DOMを使わない場合は1000個のDOMを更新する必要がありますが、仮想DOMを使えば変更された部分だけを更新すれば済みます。
これにより、レンダリングのパフォーマンスが大幅に改善されます。
保守性の向上
コンポーネントベースのアーキテクチャにより、UIの構造が明確になり、コードの保守性が向上します。
各コンポーネントは独立しているため、特定の機能を変更する際に、他の部分に影響を与えずに済みます。
例えば、Webサイトのお問い合わせフォームを変更する際、フォームのコンポーネントだけを修正すれば良いのです。ヘッダーやフッターなど、他の部分のコードに触れる必要はありません。
これにより、バグの発生を防ぎ、安全に機能を追加・変更できます。
Reactの注意点
Reactは優れたライブラリですが、全てのプロジェクトに適しているわけではありません。
以下のような点に注意が必要です。
学習コストがかかる
Reactを使いこなすには、JavaScriptの知識だけでなく、Reactの概念や文法を理解する必要があります。
特に、コンポーネントやprops、stateなどの概念は、慣れないうちは難しく感じるかもしれません。
例えば、以下のようなReactコンポーネントがあるとします。
function Welcome(props) {
return <h1>Hello, {props.name}</h1>;
}
ここで使われているprops
は、親コンポーネントから渡されるデータを表すオブジェクトです。
このようなReact特有の概念を理解しないと、コードを読み書きすることが難しくなります。
ライブラリの選定が難しい
Reactのエコシステムは非常に豊富ですが、そのぶん、どのライブラリを選べば良いか迷ってしまうことがあります。特に、初心者の場合、ライブラリの選定に時間がかかってしまうこともあるでしょう。
例えば、フォームを作る際、ReactではReact Hook Formや、Formik、Redux Formなど、様々なライブラリが選択肢として挙げられます。
それぞれのライブラリの特徴を理解し、プロジェクトに適したものを選ぶには、ある程度の経験が必要でしょう。
SEOへの対応が必要
Reactを使って開発したWebアプリケーションは、初期状態ではHTMLが空になっているため、そのままではSEO(検索エンジン最適化)に不利です。
Googleなどの検索エンジンは、サイトのHTMLコンテンツを解析してインデックスを作成するため、Reactで動的に生成されたコンテンツは認識されにくいのです。
この問題を解決するには、サーバーサイドレンダリング(SSR)を実装する必要があります。
SSRとは、サーバー上でReactコンポーネントをHTMLに変換し、初期状態のHTMLを返す技術です。
これにより、検索エンジンにコンテンツを認識させることができますが、SSRの実装には追加の労力が必要になります。
まとめ
Reactは、モダンなWebアプリケーション開発に欠かせないライブラリです。
コンポーネントベースのアーキテクチャや仮想DOMなどの特徴により、開発効率やパフォーマンス、保守性の向上が期待できます。
一方で、Reactを使いこなすには学習コストがかかるという点や、ライブラリの選定が難しいといった注意点もあります。
しかし、Reactの利点はデメリットを上回るでしょう。
特に、大規模なWebアプリケーションを開発する際は、Reactの採用を検討する価値は大いにあります。
また、React Nativeを使えば、同じ知識でモバイルアプリの開発にも挑戦できます。
Reactを学ぶことで、Webとモバイルの両方の開発スキルを身につけられるのは大きなメリットと言えるでしょう。
本記事が、Reactを学ぼうとしている方の一助となれば幸いです!
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