ReactとVue.jsは、現在最も人気のあるJavaScriptのフレームワーク(ライブラリ)です。
どちらもWebアプリケーションのUIを効率的に構築するために使われますが、それぞれ特徴があり一長一短があります。
この記事では、ReactとVue.jsの基本的な概要や特徴、具体的な違いを詳しく解説していきます。
また、React・Vue.jsのどちらを学習すべきかの判断基準や、それぞれのおすすめの学習方法もご紹介!
フレームワーク選びで迷っている方は、ぜひ参考にしてみてください。
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Reactの概要と特徴
Reactは、Meta社(旧Facebook社)が開発したJavaScriptのライブラリで、Webアプリケーションにおけるユーザーインターフェース(UI)の構築に特化しています。
Reactの主な特徴は以下の通りです。
- UIの部品化が可能な「コンポーネント指向」
- 効率的な描画を実現する「仮想DOM」
- HTMLに似た構文の「JSX」
- 豊富なエコシステム
Reactでは、UIをコンポーネントと呼ばれる部品単位に分割して開発します。
各コンポーネントは再利用可能で、大規模なアプリケーションの保守性を高めてくれます。
また、Reactは仮想DOMという技術を使って、UIの変更箇所のみを効率的に再描画するので、パフォーマンスに優れているのが特徴です。
開発言語には「JSX」と呼ばれるHTMLに似た独自の構文を使用します。
学習コストはやや高めですが、一度覚えれば直感的にUIを記述できるようになります。
そしてReactは、多くのサードパーティ製ツールやライブラリに恵まれた生態系(エコシステム)を持っています。
これにより、様々な機能を柔軟に拡張できるのも大きな強みと言えるでしょう。
Vue.jsの概要と特徴
一方、Vue.jsはGoogleのエンジニアだったEvan You氏によって開発されたJavaScriptのフレームワークです。
軽量でシンプルな設計思想が特徴的で、比較的小規模なWebアプリケーション開発に適しています。
Vue.jsの主な特徴は次の通りです。
- シンプルで学習コストが低い
- HTML・CSS・JSの知識があれば扱いやすい
- 軽量かつ柔軟な設計
- 日本語ドキュメントが充実
Vue.jsは、クラス宣言によるシンプルなコンポーネント記述が可能です。
HTMLに似たテンプレート構文を採用していて、他のマークアップ言語になじみのある人でも直感的に理解しやすいのが長所と言えます。
Reactと同様に仮想DOMを使ったレンダリング最適化も行っています。
ただし、仮想DOMの差分適用回数がReactより多い傾向があるため、パフォーマンスではやや劣ります。
それでも、中小規模の開発であれば、Vue.jsの軽量さとシンプルさが強みになります。
特に日本語のドキュメントが豊富にあるので、日本人エンジニアにとって学習コストが低いのも魅力の一つでしょう。
ReactとVue.jsの共通点
ReactとVue.jsは、基本的にはよく似た特徴を持っています。具体的には以下のような共通点があります。
- コンポーネントベースのUIを構築できる
- 仮想DOMを使った効率的なレンダリング
- 宣言的なUIの記述
どちらのフレームワークもコンポーネントという考え方を中心に設計されているため、再利用性の高いUIパーツを開発できます。
また、仮想DOMを利用してレンダリング処理を最適化している点や、HTMLに似たマークアップ言語を使って宣言的にUIを記述できる点なども共通しています。
つまりReactとVue.jsは、「モダンなWebアプリケーションを効率的に開発するためのツール」という大きな目的において一致していると言えるでしょう。
ReactとVue.jsの違い
一方で、ReactとVue.jsの間にはいくつかの違いもあります。ここでは代表的な違いをいくつか見ていきましょう。
ライブラリ or フレームワーク
ReactはUIに特化した「ライブラリ」であるのに対し、Vue.jsはフレームワークの体裁を持っています。
フレームワークとは、アプリケーション開発に必要な一通りの機能がパッケージ化されたもののことです。
一般的にライブラリと呼ばれるものよりも包括的で、ある程度の規約に沿って使う必要があります。
Reactはあくまでライブラリの一つなので、比較的自由度が高くなっています。
reactに含まれていない機能は、他のライブラリを追加して補う形になるでしょう。
対してVue.jsには、ルーティングやステート管理など、アプリケーションを作るのに必要な機能がある程度揃っているため、追加のライブラリに頼る必要が少なくなります。
学習コストと難易度
ReactもVue.jsも、JavaScriptの知識があれば比較的学習コストは低いです。
ただ、両者を比べるとVue.jsのほうが習得難易度は低いと言われています。
その理由の一つが、HTMLやCSSとの親和性の高さです。
Vue.jsではHTMLに似たテンプレート構文を使えるため、マークアップ言語に慣れた人にとっては理解しやすいでしょう。
一方、ReactはJSXという独自の記法を使うため、最初のとっつきにくさを感じる人もいるかもしれません。
ただその分、慣れてしまえばJSXのほうが柔軟で表現力が高いというメリットもあります。
パフォーマンス
パフォーマンスの観点では、ReactとVue.jsにそこまで大きな差はありません。ただ、細かく比較するとReactのほうが若干高速との見方が一般的です。
Reactは仮想DOMの差分適用をできるだけ最小限に抑える工夫がされています。対してVue.jsは、仮想DOMの更新回数がどうしても多くなる傾向にあります。
とはいえ、そのパフォーマンス差が顕著に現れるのは相当に大規模なアプリケーションの場合のみです。中小規模の開発であればあまり気にする必要はないでしょう。
適した開発規模
ReactとVue.jsが適している開発規模にも違いがあります。
一般的には、大規模なアプリケーション開発にはReactが、中小規模の開発にはVue.jsが向いていると言われています。
Reactには、複雑なロジックを実装するのに適した柔軟な設計思想があります。
また、様々なケースを想定した豊富なエコシステムにより、規模の大きな開発にも対応しやすいです。
一方、Vue.jsはシンプルで軽量なフレームワークであることを重視しています。
中小規模のWebアプリケーションをスピーディに開発するのに適しているでしょう。
ただし、この適性はあくまでも平均的なものです。
Reactで小規模アプリを作ることも、Vue.jsで大規模開発をすることも可能です。
プロジェクトの要件次第で柔軟に選択するのがよいでしょう。
ReactとVue.jsの学習方法
ここからは、ReactとVue.jsをどう学習すればよいかについて見ていきましょう。
ReactとVue.jsを学ぶための前提スキル
ReactもVue.jsも、JavaScriptのライブラリ/フレームワークです。そのため、学習の前提としてJavaScriptの基礎知識が必要になります。
一般的なコーディング能力はもちろんですが、特に以下のようなJavaScriptの機能を理解しておくことが大切です。
- 変数とデータ型
- 配列とオブジェクト
- 条件分岐とループ
- 関数とスコープ
- クラスと継承(オブジェクト指向)
- モジュールとパッケージ管理
- 非同期処理(コールバック、Promise、async/await)
この中でも特に大切なのが、モジュールの概念と非同期処理の理解です。
ReactもVue.jsも、コンポーネント単位での開発が基本になりますが、その考え方はまさにモジュールシステムそのものです。
また、APIとの通信など非同期処理が頻出するため、これらは必須の知識と言えるでしょう。
学習の進め方
JavaScript(できればTypeScriptも)の基礎が身についたら、実際にReactやVue.jsの学習を始めましょう。効率的に学ぶコツは次の通りです。
- まずは公式ドキュメントでチュートリアルをこなす
- 簡単なアプリを実際に作ってみる
- ネット上の各種解説記事で知識を深める
- 動画講座などで体系的な学習をする
ReactもVue.jsも、まずは公式サイトのチュートリアルから始めるのがおすすめです。実際にコードを書きながら、基本的な文法や考え方を学ぶことができます。
そこで学んだ知識をもとに、TODOアプリなどの簡単なWebアプリを実装してみましょう。
動くアプリを一通り作ってみるのが、理解を深めるための近道です。
まとめ
以上、ReactとVue.jsの特徴や違い、学習方法などを詳しく見てきました。
現代のフロントエンド開発において、ReactとVue.jsの存在は欠かせません。
アプリの要件や好みに合わせて使い分けることで、より効率的で高品質な開発が可能になるでしょう。
本記事が、ReactとVue.jsの理解を深め、学習の指針を得るためのヒントになれば幸いです!